スキー技術情報
皆んなで造る情報交換コーナー
- このコーナーは、CXMediaの"Yoshi Ogaku"が運営しております。雪国生まれ、スキー大好きで、学生時代は競技スキーをやり、社会人となってもスキーを続け、40歳を越えた頃から『一生涯スキーをやったぞ!』という証を残そうと思い立って、基礎スキー指導員を目指しました。
- 現在は財団法人全日本スキー連盟の指導員であり、財団法人東京都スキー連盟の東京スキー研究会のクラブに所属しております。我らのスキークラブに興味ある方は、【スキー研(略称)】のホームページをご覧下さい。
カービングターン技術
- カービングターンとは
- スキーの形状
- サイドカーブの半径が30m以下のもの
- エッジングの質
- 雪面への側圧(角づけ)で、スキーのしなり(フレックス)とサイドカーブ(ラディアス)を利用してカーブする。
- 効用
- スピード加速(ずれの少ない切れるスキーのターン)...舵とりによる分類
- 実際は、ずらしによるターン(スキッドターン...スピードコントロールが容易)と両方が折り混ざっている
- 技術の向上
- スピン→ピポット→カービングのステップで!
- 注)c a r v e...彫る c u rv e...曲線を描く s h a p e...形作る(アメりカ・カナダではシエイプスキー)
テールコントロールとトップコントロールの相違点
テールコントロール(スキッティングターン) | トップコントロール(カービングターン) |
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カービングターンの習得
- カービングターンの要領
- ポジション
- 足先中心で正対内倒
- 進みたい方向に股関節を正対
- スタンス
- オープンスタンスをベースとして、スピードアップに対応してワイドスタンス化
- バランス
- 膝を内倒(内足の膝を内側から押し開く感じ)し、上体は、先行動作的に進みたい方向に向け、股関節を正対させながら左右のバランスを取る
- スピードによる遠心力と内傾の角度のバランスで内倒の回避
- 低い姿勢で手を前(進行方向45度あたり)に突き出しながら前後のバランスをとる
- リズム
- 自ら雪面に働きかけた動きで、常に動いている感じで『ため』をつくる
- 落下スピードのみではダメで、『ため』の反発で推進力を生むようにする
- 切り換え(ベンディング)
- 側圧による踏みつけ(加圧)からの反発で、重心をスライド
- ニュートラルポジションを経過し、両足をたたみ込む感じ。
- 側圧から側圧へ。上下動は、内倒によるもので、上体や膝の屈伸運動によるものではない
- エッジング
- 側圧中心で足の捻りで加圧
- 谷足の内側への倒しと母指球と親指で”し”の字を書く感じ
- 切り込み
- 内足スキー主導による先行動作
- 内足による切り込みで、内足の小指を斜面垂直に押しつけて、内足のスキートップから斜面をとらえる感じ
- 外向姿勢(アンギュレーション)をつけない
● オートバイターンの内膝 ● | |
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オートパイのレースで、レーサーはS字コーナーや深いコーナーを内側のヒザを地面にこするぽどバイクを傾けて走る。この感覚が「内足からの切り込みと先行動作」である。 |
- カービングターンの練習バリエーション
- 回すことの4つのステップ(側圧荷重、上体の進行方向正対、内スキー主導、加圧と重心スライド)をベース
- 1.カービングスキーの特徴理解
- 直滑降...パラレル、ワイドスタンス、プルーク(リズム作り...開きと閉じ)
- 山回り...ワイドスタンスで外足荷重を続ける。内足荷重を続ける
- 交互スライド...ワイドスタンスで側方にスキーを動かす/圧す
- 2.推進力の練習(ノーストック)
- ボクシングスタイル...順ひねり動作
- 逆捻りターン(後ろから両手で前へだす、腕を左右に出す)...縦への力の作用
- 演歌スタイル(谷側の片手ですくい上げる)...縦への力の作用、膝の内倒
- 谷側の脚に谷側の手で内側に圧すターン...側圧を強める
- 膝に両手を置いたターン...縦への力の作用
- ヒップに手を置いたターン...順ひねり動作、進行方向に正対
- ストックを前に持ち上げたターン...進行方向に正対
- 3.内スキー主導の練習
- 内足(片足)によるターン...内足先行の切り込み
- クラマーターン...内足荷重、外足による側圧
- 内膝に内側の手で内倒させて、内スキー主導や内足先行を感じとる
- 内側に手をついたターン... 股関節を正対させて、内足荷重のバランス(重心と傾き)をさぐる
- 4.重心のスライドの練習
- ワイドスタンスのレールターン...足の捻り・加圧と切換えの繰り返しから重心スライドを感じとる
- クローチングスタイルによるターン:重心の移動のみのターン
- ストックを短く持って上体をつぶしたターン
スキー板の選択について
- 自分の技術レベルやスキーの楽しみ方(レース、ゲレンデ、モーグル等)の指向によりスキー板を選択することが基本ですが、最近の動向で技術革新が激しいカービングスキーについて、『カービングターンをうまくコントロールすること』を念頭に私の好む良いスキー板とはについて述べます。
- ねじれ剛性(トーション)に強いこと
- スキー板の構造では、サンドイッチ構造とキャップ構造がありますがねじれ剛性を保ちスキー板が軽いことから、キャップ構造を好んで選択しています。
- >ねじれ剛性が弱いとテールのグリップが弱くなりズレが多い滑りとなるためです。最近はグラス繊維、メタル(チタニューム)、カーボン素材で補強しているものが多いのでスキー自身の震動吸収方式も併せて新しい技術を反映したものを選んでいます。
- 注意することは、購入するスキーが最初からねじれているものがあるので、滑走面のテールとトップの設置線が平行であるかをチェックしています。
- フレックスがヘタらず、高さがあり、硬くて跳ね返りが良いもの
- 購入時はフレックスがあるのですが1年間滑ると翌年にはヘタっているものが多いのですが、それは、フレックスの高さがなく柔らかいもの(補強材等との関係もある)にあると思っております。
- 1年ごとにスキー板を買い替えるヘビー使用やお金に糸目をつけない方はそれでも良いかもしれません。通常の方は2〜3年以上使用する方が多いと思うので『しなやかにたわむもの』(カービング特性を活かすスキー)が最近の傾向ですが、『硬く跳ね返りが良く、ヘタらないもの』を選択しています。
- 私は、レースと基礎スキーの両方をやるので板の真上からしっかりと踏み込まないとたわまないものを好んでおります。
- スキーの長さとラディアス(サイドカーブの回転半径、以下Rと呼ぶ)のバランス化
- (体重の要素が大きいのですが、身長のマイナス10Cmの長さが目安、ラディアス(R)はどんなターン向けを中心にするかで決める)
- スキー板のトップ、テールの幅が太くなっている傾向にありますが、長さとトップ及びテール、センターの幅からラディウス(R)が決まってくるので、ショートターン向け、ロングターン向けそれともオールラウンド向け中心かで決めると良いと思います。
- 私は、ショートターン(スラローム)向けが好みなので(R)が短いほど細かいターンが容易ですが、コブもチャレンジしてオールラウンドに使用することから、身長:177Cm、体重:73Kgで脚力がだんだん衰えてきていることもありスキー板は長さ:165Cm,(R):14m以下のものが良いと思っております。
- 公式のレースに出る方は、2003&2004年からFISアルペン競技のルールが変わり、スラローム用は男子:165Cm以上、女子:155Cm以上となっており、その点からもスキー長さを判断した方がよいと思います。
- その他:プレートの有無
- スキー板に最初からプレートが付いているものがありますが、そのスキー板専用のビンディングが必要なため、好みのビンディングの選択幅が狭まることからスキー板のプレート無しを選んでいます。
- 推奨のスラローム向けスキー板
- 雑誌等の情報を加味してスラローム向けスキー板を選択しました。参考になればと思います
2003&2004年向け | 2004&2005年での改良点 |
SALOMON Equipe10 3V Race Poweraxe race SL Top:112mm,Tail:100mm,Center:65mm,R:13.2m/165Cm 8.5万円位 (キャップ構造、プレート付) |
→バイブレーション吸収(ワールドカップのNewプロリンク)を使用 Equipe 10 3V race PWSは、2004/2005のビンディング以外不可 |
FISHER W.C.SC RacingPlate Top:123mm,Tail:102mm,Center:66mm,R:11m/165Cm 7.9万円位 (オールラウンドタイプは、SCENEO S600 FT Racingplate) |
→ラディウス関連が変更になり、回りすぎを改良 Top:118mm,Tail:99mm,Center:66mm,R:13m/165Cm ビンディング(FR17 Free Flex)付で9万円位 |
STÖKLI Laser SL(サンドイッチ構造) Top:112mm,Tail:99mm,Center:63mm,R:14m/166Cm 11万円 |
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NORDICA DOBER MANN 12SL Top:112mm,Tail:97mm,Center:64mm,R:14m/165Cm 8.5万円位 |
スキートレーニングのカリキュラム例
- 2004年度からスキー教程が変更となり、今までのスキッディングとカービングというターン運動体系から、のターン運動体系となり、(今までは検定)の内容も変更となった。
- 準備運動(ストレッチ)
- アキレス腱とふくらはぎ... スキーを前後に開き、上体を前に出し後ろ足に重心をかける
- 大腿後部... スキーの片足を前に投げ出してスキーを立てて、上体を前に倒す
- 大腿四頭筋... スキーの片足を後ろ側で立てテールを抱えて、前足の大腿部を伸展
- 膝... ワイドスタンスで膝を内側へ押し入れる
- 股関節... スキーをクロス字にして前足と後ろ足を開いて股関節を伸ばす
- 肩甲骨... ストックを後ろに突いて肩を後ろに回し上下運動で肩を伸ばす
- 上体捻り... 後ろにストックを突いて上体を捻る
- 首捻り... 頭を片手で押さえて前後の伸展と首を回す
- ポジションの確認
- 正しいポジション... 斜面に立ち方(両足荷重)、進行方向に対して正対、斜面に腰肩膝が水平
- 間違え易いポジション例... 腰が引けて足首が伸びきっている、胸が起き上がっている
- 前後のポジション... 舵取りの前半、後半での足裏ポジションの移動の感覚をつかむ
- ニュートラルポジションとは... 直滑降、斜滑降の縦軸方向のみの移動も含まれることの理解
- 力を使う方向の理解
- 前圧のかけ方、かけ過ぎ... テールが振りやすい、スキーが走りにくい
- 踵荷重... スキーを走らせ易い
- インサイドに力を使いすぎ... 角付けのみの調節(スキーのしなりを引き出せない)
- アウトサイドへ使う... スキーのしなりが使える、向心力を出せる
- 荷重ポイントの獲得
- 足裏感覚での前後の荷重移動と自分の許容範囲を探る...足裏の機能線の紹介
... 舵取りの前半:拇指球、舵取りの後半:足の付け根(くる節) - テールコントロール(スキーは重心より前側)とトップコントロール(スキーは重心の横)の重心の位置関係
- エッジングの質と身体の向きの実践
- 外スキー主導(中心軸運動)と内スキー主導(2軸運動)の違い...テール/トップコントロールとの関連
- テールコントロール...外向外傾、外スキー主導、横方向への荷重
- トップコントロール ...正対(内向)内傾、内スキー主導、縦方向から内方向への荷重
- バリエーション...外スキー主導 →両スキー主導→内スキー主導のエッジング違い
- 基本要素となるスキー操作(ターン始動と舵取り、切り換えとニュートラルポジション)の確認
- テールコントロールでのエッジングの仕方
- プルークボーゲンのエッジング...押し出しと捻りの違い
- シュテムターンのエッジング...外スキーの押出しと踏み出しの違い
- トップコントロールでのエッジングの仕方
- レールターンによるエッジング ...オープンスタンスからワイドスタンスへ
- 内スキー主導によるエッジング...山回りによる内足荷重ポイントと正対姿勢
- 切り換えのバリエーション
- ストレッチング系... 曲げ荷重
- ベンディング系... 伸ばし荷重
- ステッピング系... 踏み出し(リカバーとして)、踏み蹴り(加速として)
- ターン始動(外スキーと内スキー)とターンコントロール
- 外足からのエッジングと内足からのエッジング
- トップ及びテールコントロールの使い分け... 正対内傾と外向外傾、内足・外足始動
- パラレルターンへの展開... ターン始動、舵取り局面、ターン仕上げの局面
- トップ&テールコントロールからトップコントロールへの実践(カービングターン)
- 大回り... 傾けと外足の踏みつけ、内足ターン始動、切り換え(ニュートラルポジション)のタイミング
- 小回り... 縦長浅回り滑り(傾け切り換え型として)、深回り円弧滑り(内足始動型として)
- 正対内傾への矯正練習とスピード対応練習
- 改正したバッジテスト内容についての理解と実践
- 1級と2級の種目の違い
- 2級は、基礎パラレルターン大回り:中急斜面、基礎パラレルターン小回り:中斜面、シュテムターン:中斜面
- 1級は、パラレルターン大回り:急斜面、基礎パラレルターン小回り:急斜面、パラレルターン小回り:中急斜面(不整地)、横滑り:急斜面 ... 2級を取得していないと受検できない
- 評価内容
- 1,2級ともターン運動構成、斜面状況への適応度、運動の質的内容
- 評価基準
- 1級は70ポイントを合格点として、プラス・マイナス5ポイント内で評価し、4種目合計が280ポイント以上を合格
(不整地を含む急斜面のパラレル小回りを、安定感ある滑りでコントロールすることがポイントと思われる) - 2級は65ポイントを合格点として、プラス・マイナス5ポイント内で評価し、3種目合計が195ポイント以上を合格
( 一定のスピードを保ちながら、整地された斜面を滑ることができることがポイントと思われる) - 1、2級とも検定員3人による平均値(小数点以下を4捨5入)
(フリー滑降は、斜面状況に合わせたトップ&テールコントロールとトップコントロールの使い分けの滑りがポイント)
- メモ(各自の課題:矯正ポイント)
- スキー講師と相談し課題を明確にして、練習方法を組み立てて課題・矯正ポイントをクリアする。
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